BLOG

歯列矯正で口元が下がりすぎる原因【前編】

歯列矯正を検討している、あるいはすでに開始している患者さまから多く寄せられる質問の一つに「治療を通じて見た目が悪化する可能性はないのか?」ということがあります。
特に口元が下がるリスクを懸念されている方が多く、治療中は器具による見た目や痛みの問題が起こるということも相まって、断念する方もいらっしゃるようです。
歯列矯正には数多くのメリットがある中で、このようにネガティブな印象を持たれるのは、われわれ歯科医師にとって非常に残念なことです。 そこで今回は、治療によって口元が下がる原因について詳しくお話しします。


そもそも口元が下がるって本当?

歯列矯正による口元の変化は、矯正方法によって左右されやすい傾向にあります。

しかし、どの方法で歯を動かしても「口の中へ長時間異物(矯正器具や装置)が入っている状態」であることは否めません。前提として、口の周辺の筋肉が通常とは異なる状態になることを理解しておきましょう。

口元が変化するのはなぜ?

考えられる主な原因は、次の3点です。

1.上顎前突の矯正

上顎前突(出っ歯)を治す場合、一部の歯を後方へ動かさなければなりません。口元のイメージが改善される一方で、これまで前歯によって引き上げられていた上唇が下がってしまいます。

その結果、以前よりも口元が引っ込んだ印象になるでしょう。

2.抜歯

歯列矯正では抜歯を伴う症例が多く、第一小臼歯もしくは第二小臼歯を抜くケースが大半です。

上唇を引き上げていた歯を失うと、前項同様に口元が下がった印象になるでしょう。

ちなみに非抜歯の場合、口元の見た目が変化する心配はまずありません。必ずしも歯を抜かずに治療できるとは限りませんが、口元を下げたくない方はかかりつけ医へ事前に相談してみるとよいでしょう。

3.口ゴボの矯正

上顎もしくは上下の顎が前に突出した状態を、俗に「口ゴボ」といいます。

この症例では顎や歯全体が前に突出しているため、日頃から上顎が引き上げられがちです。そのため見た目の問題で、口元を引っ込めたいと訴える患者さまが多いのが特徴です。

しかしいざ治療を終えると、思いもよらぬ見た目の変化に驚く患者さまは少なくありません。

「こうなるはずじゃなかったのに…」という結果にならないよう、口元をどのように変化させたいのか明確にしたうえで治療をスタートしましょう。

治療前の無料カウンセリングなどを利用し、気になることを事前に相談するのがおすすめです。


口元が引っ込むと見た目はどのように変化する?

口元が引っ込んだ場合に起こりやすい変化は、次の3点です。

1.人中が伸びる

鼻の下と上唇との距離を「人中」といい、口元が引っ込むことでその部分が伸びやすくなります。

「鼻の下が伸びる」といった言葉があるように、長い人中はポジティブな印象を与えるものではありません。

日頃から口角を上げて生活することを意識し、表情筋を鍛えて見た目の改善を図りましょう。

2.ほうれい線がくっきりとする

口元が引っ込んだ結果、ほうれい線が目立ちやすくなるかもしれません。

歯列矯正自体が原因となるのはレアケースですが、可能性がゼロだとは言い切れません。

また不必要な抜歯によって歯が過度に後退し、ほうれい線がくっきりとして見えることもあるので注意しましょう。治療前のカウンセリングで、よく確認しておくことが大切です。

ちなみに、出っ歯の治療などを通じて口を閉じやすくなり、口輪筋が鍛えられてほうれい線が薄くなったという嬉しい症例も報告されています。

起こりうるリスクを事前に押さえることは大切ですが、あまり悲観しすぎないようにしてくださいね。

3.下顎がしゃくれて見える

出っ歯の治療を行う際、抜歯をして前歯を下げたら、下顎がしゃくれたというケースも報告されています。

しかし原因を掘り下げると、矯正治療自体の問題ではなく「前歯が下がって下顎が突出した印象になったこと」が理由である場合が大半です。

つまり、下顎の位置が変わったのではなく「治療を通じて相対的に突出して見えるようになった」と捉えるのがよいでしょう。

PageTop