前回は、「歯が常に触れているんですけどこれって普通?【前編】」について解説しました。
今回は引き続き、後編をお届けします。
4.TCHへの対策
もし無意識に歯を合わせていることがある場合、なるべく早めにその癖をやめることが大切です。意識して歯を合わさないようにすることで、自然と起こらなくなってくることも多いですが、忙しい毎日の中だとどうしても忘れてしまいがちです。
そんな場合、次のような方法を試してみてください。
①とにかく「歯を離す」ことを普段から意識してみましょう。
②忘れないように「歯を合わせない」と書いたメモや付箋紙を家のいたるところに貼ってみましょう。
たったこれだけのことでも、通常はだんだんとTCHなくなっていきます。
また、改善することによって以下のことが防げる可能性があります。
・顎関節症の症状永続化
・歯周炎の悪化
・補綴物の破損
・インプラント上部構造の破損、ねじの緩み
・くさび状欠損
・知覚過敏
・歯根破折
・歯のクラック
・口内炎
・頬粘膜の誤咬
・咬合違和感
・滑舌の悪さ
一度癖になってしまったものはなかなかやめられないものですが、だいたい2〜3ヶ月もするうちにきっと改善が見られることでしょう。
TCHはストレスが大きな原因として考えられています。そのため、普段からストレスを溜め込まないよう、ストレスを発散できるよう、自分の好きなことをする時間を持つことも大切です。
5.具体的な治療法
TCHの有無をチェックし、既に初期症状があらわれはじめている方は、専門機関を受診してください。TCHが疑われる場合には、歯を離すことを意識することからはじめてみましょう。日常生活で視界に入りやすいパソコン画面やテレビのリモコン、洗面台、トイレ、食卓などに「上下の歯を離してリラックス」などと書いたメモ紙を貼るなどして、意識しやすい環境をつくりましょう。
~家庭での訓練~
①「歯を離す」「リラックス」「力を抜く」などと書いたリマインダーを用意する
(リマインダーはご自身でわかるもので良い。シールや目印でも)
②リマインダーを5分以上いる場所、10箇所以上に貼る
③日常生活の中でリマインダーを見たら、
上下の歯が接触していないかを確認してみましょう
*リマインダーは貼ったら忘れ、覚えておかなくて大丈夫です
*意識して離すことはやめましょう
意識することで普段使わない筋肉を使って痛みが出ることがあります
*歯を離すために、唇や頬粘膜を噛むことはやめましょう
*リマインダーを貼れない場所では、
「20分おきにアラームを鳴らす」
「携帯電話のバイブレーダーで気づかせる」などのアレンジをしてみましょう
*時間が経過するとリマインダーは景色になってしまうので
場所を変えたり、容姿の色を変えたりするなど工夫してみましょう
身についてしまった癖は簡単には抜けません。メモを見て意識することを3~4カ月続けると、メモを見なくても自然と上下の歯は接しなくなります。 既に歯ぎしりや噛みしめにより強い症状があらわれQOLに支障をきたしている場合は、マウスピースをはめてダメージを防ぐことを優先しましょう。
ストレス解消が予防になります。
TCH、歯ぎしり、噛みしめは癖のようなものですが、ではなぜ癖になってしまうのでしょうか?その要因の一つが噛みあわせによる問題、加えて「ストレス」も考えられます。
噛みあわせの悪さが影響している場合、適切な治療を行うことにより改善できます。 一方、ストレスが原因の場合、できる限りストレスを解消する方法を見出し、日頃から歯の健康を意識して過ごしましょう。