前回は、歯列矯正による口元の変化について詳しくお話ししました。 せっかく長い期間や多額の費用をかけて治療するのであれば、嬉しい変化が起こってほしいものですよね。 そこで今回は、美しい口元を実現するためのポイントについて詳しく説明します。
目次
口元の変化に伴い咬合が悪化する可能性も…
「歯列矯正によって不正歯列や不正咬合の改善が見込める!」と思って治療を始めた結果、咬合が悪化する可能性はあるのでしょうか?
答えはズバリ「イエス」です。
歯列矯正をしても不正咬合が改善されず、場合によっては悪化するケースもあります。
主な理由として挙げられるのは、次の3点です。
1.歯科医師の技術の問題
2.歯の移動による一時的なもの(治療中)
3.適切な措置を怠ったことによる後戻り(治療後)
まず1つ目の理由に関しては、歯科医院側の問題といえます。回避するためには「慎重な歯科医院選び」と「カウンセリング段階での、患者さまと医師との考えの擦り合わせ」が必要不可欠です。
治療開始後も、双方が積極的にコミュニケーションを取ることで「こうなるはずではなかった!」というトラブルを避けることが可能です。
次に2つ目の理由については、しばらく経過観察をすれば改善されるケースが大半です。
ただし治療終了間際になっても改善が見込めない場合は、早めにかかりつけ医へ相談しましょう。
最後は、3つ目の理由についてです。
歯列矯正では歯を動かしたあとに、保定装置を付けて後戻りを予防する「保定期間」が設けられます。
歯科医師からの指示通りに装置を付けず過ごしていると、せっかく動かした歯が元に戻って噛み合わせが悪化するでしょう。歯列まで元に戻ってしまうという症例も、決して少なくありません。
「理想通りの歯並びを手に入れたから」と油断せず、かかりつけ医の指示通りに装置を付けて生活しましょう。
整った口元を手に入れるには?
歯列矯正によって整った口元を手に入れるには、一体どのような点に注意すればよいのでしょうか?
1.治療に対する要望や、なりたい姿を明確に伝える
歯列矯正に限ったことではありませんが、治療に対する要望があれば明確に伝えておくことが重要です。「どの部分を」「いつ頃までに」「どうしたいか」といったことを伝えられれば、具体的でよいと思います。
要望を100%叶えられるとは限りませんが、歯科医師はできるだけその内容に沿った治療計画を立ててくれるはずです。
曖昧に伝えていると、考え方の擦り合わせができないまま治療がスタートします。後悔を招かないためにも、自分自身の要望をはっきりと伝えておきましょう。
2.セカンドオピニオンを利用する
治療前のカウンセリングや検査の段階で「任せるのがなんとなく心配だな」「自分に合わない気がするな」と感じることがあると思います。
そのような場合は、セカンドオピニオンを積極的に利用しましょう。
中にはネット上で相談できるサービスもあり、一昔前に比べると敷居が低くなっています。ただネットで完結するサービスの場合、口腔状態までは確認してもらえません。
適切な診断を受けるためには、時間を確保して矯正専門の歯科医院で診てもらうのがよいでしょう。
3.整形外科の受診を視野に入れる
歯列矯正だけで理想の口元を手に入れるのが難しい場合は、整形外科の受診を視野に入れましょう。
外科的な処置を受けることによって、見た目の改善を図れる可能性があります。
ただ整形外科へ通院するとなると、膨大な費用と期間がかかります。ご自身のお財布事情やスケジュールと相談したうえで、受診を検討してもらえれば幸いです。
見た目ばかりに囚われる必要はない!
歯列矯正について情報収集を行っていると、成功例ばかりがどうしても目に留まりがちです。
特に横顔の「Eライン」に関しては、ポジティブな内容ばかりを記載した広告が多く存在します。
理想を目指すことも大切ですが、必ずしもすべての患者さまが、骨格の異なるハリウッドスターのようなEラインを実現できるとは限りません。
高望みしすぎず、明確なゴールをイメージしたうえで治療に臨むことが大切です。その方が精神的な負担もかからず、無理なく治療を続けられるはずですよ。
歯列矯正では、患者さま自身に浮かぶ疑問や不安を事前に解消することが大切です。無料カウンセリングなどを利用して、気になることは早めに確認しましょう。
まとめ
今回は、歯列矯正と口元の変化との関係性についてお話ししました。
記事の内容をざっとまとめると、次の通りです。
・歯列矯正が、口元の変化に直接影響を与える可能性は低い
・口元が実際に引っ込んだのではなく、相対的にそう見えるケースも少なからず存在する
・あらかじめ、かかりつけ医へ要望をしっかりと伝えることが重要である
・必要に応じて、セカンドオピニオンや整形外科の受診を検討する
・自己判断だけでなく、第三者からの客観的な意見も参考にする
本記事が、あなたの考えを変えるヒントや、治療を後押しするキッカケになれば幸いです。