ご自身の唾液が次のいずれかに該当する場合は、とくに注意しましょう。
アルカリ性である
むし歯の原因は、口の中に残った食物残渣を食べたときにむし歯菌が放出する酸です。歯の表面にあるカルシウムやリンが溶けて、やがてむし歯となります。そのとき唾液がアルカリ性であると、酸が中和されて溶解しかけたリンなどが元通りになります(再石灰化)。
見方によっては「むし歯になりにくい」ともいえますが、唾液中のカルシウムやリンが、プラークと結び付くと歯石になります。つまりアルカリ性の唾液である人は、歯石が溜まりやすいので気を付けましょう。
分泌量が多い
分泌量が多いと、再石灰化がどんどん進んで歯石が蓄積されやすくなります。
さらさらしている
適度な粘り気もなく、さらさらとした唾液の方は再石灰化が起こりやすいでしょう。
歯石が付きやすいのはどこ?
歯の裏側を下で触ると、歯石が付いているかどうかわかりやすいと思います。
下の歯の裏側に付着しているケースが多いですが、唾液腺の近くも要注意です。具体的な位置を紹介するので、舌で触れながらぜひ確認してみてください。
下の前歯の裏側
全体の唾液分泌量の約80%を誇る「舌下腺」と「顎下腺」がある部分です。唾液腺の中でも、とくに歯石が溜まりやすいので注意しましょう。
上の奥歯の表側
「耳下腺」という唾液腺があり、前述した2つと合わせて「三大唾液腺」といいます。
不正歯列が見られる箇所
不正歯列がある箇所は、口腔ケアの際に磨き残しが生じやすく歯石の原因になります。歯が重なっている部分は、とくに注意しましょう。
歯肉から頻繁に血が出る部分
血液にも再石灰化の作用があるため、歯周病の影響などで歯肉から出血しやすい人は要注意です。歯肉内に歯石が蓄積する「縁下歯石」が生じるでしょう。黒くて硬いのが特徴ですが、見えない部分にできるので視認しにくいのが難点です。
歯石除去の最適なタイミング
インビザラインで歯列を整える場合、歯石除去は治療開始前・治療中・治療終了後のいずれかで行われるのが一般的です。
治療開始前
歯石が検査結果に影響を及ぼさないよう、装置の型取りやシミュレーション前に除去するケースが多いです。
ただし歯列矯正を専門とするクリニックでは、取り扱いのない場合があります。気になる場合は、担当医師へ事前にチェックしましょう。
治療中
治療中は装置を付けて生活する時間が長いので、口の中が不衛生になりがちです。口腔トラブルを予防するためにも、定期的なクリーニングや歯石除去が必要となるでしょう。
こちらもクリニックによって実施状況が異なるので、必要であれば他院で受ける運びとなります。
治療終了後
思い通りの歯並びになったからといって、気を抜いてはなりません。3~4ヶ月ごとに歯科健診を受けて、クリーニングで歯石を除去してもらいましょう。私生活が多忙な方も、半年に一度は受診するのが理想です。
受診の頻度などは、かかりつけ家に確認してみてくださいね。
歯石沈着を予防するために
歯石を溜めないためには、その原因となるプラークを蓄積させないことが重要です。日々の口腔ケアを行う際、デンタルフロスや歯間ブラシなどのアイテムをうまく活用してください。
今回お伝えした「歯石沈着を起こしやすい箇所」は、とくに念入りに磨くのが理想です。歯科医院での定期的なクリーニングを併用することで、より清潔な口腔状態を維持できるでしょう。
まとめ
歯石沈着を起こしにくくするためには、普段からプラークをきちんと除去することがポイントです。歯列矯正中に歯石が溜まると、装置の不具合や口腔トラブルを起こす可能性があるので注意しましょう。最悪の場合、当初の予定よりも治療期間が延びてしまいます。
定期的な歯石除去も大切ですが、患者さま自身が適切な口腔ケアを行うことを忘れてはなりません。理想の歯列を手に入れたあとも、清潔な口腔状態をキープしましょう。