
治療前(左)と治療後(右)の横顔。上下の前歯が後退し、口唇が自然に閉じられるようになりました。※治療結果には個人差があります。
「歯並びのガタガタ(叢生)は治したい。でも健康な歯は抜きたくないし、口元もこれ以上前に出したくない」——刈谷の当院に、このお悩みで来られる10代・20代の患者様は少なくありません。本記事では、他院で小臼歯4本の抜歯を提案された高校生の女性を、歯を抜かない矯正(非抜歯矯正)とマウスピース型矯正装置で治療した症例をご紹介します。奥歯を後方へ動かしてスペースを作る考え方と、口元(Eライン)がどう変化したかを、検査所見に沿って解説します。
この症例の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症例番号 | No.433 |
| 主訴 | 叢生(ガタガタ)を治したい。ただし歯は抜きたくない、口元も今より前に出したくない |
| 年齢・性別 | 10代(高校生)・女性 |
| 相談のきっかけ | 他院にて、上下左右の小臼歯 計4本の抜歯を含む治療方針を提案された |
| 診断 | 過蓋咬合を伴う叢生 |
| 治療方針 | 非抜歯(大臼歯の遠心移動+IPR+歯列の側方拡大) |
| 使用装置 | マウスピース型矯正装置+アタッチメント、顎間ゴム(エラスティック)併用 |
| 動的治療期間 | 約2年0ヶ月 |
| 費用(税込) | 精密検査・診断料 33,000円+矯正装置料 1,100,000円+処置料 3,300円(来院ごと) |
| 結果 | 叢生・過蓋咬合ともに改善。上下前歯が後退し、Eライン上に口唇が収まった。口唇閉鎖不全も解消 |
歯を抜かずに口元の突出感(いわゆる口ゴボ)を防ぐには、「奥歯を後方へ動かせるスペースがあるか」「歯根が皮質骨の中に安全に収まるか」を、CTとセファロで事前に見極めることが決め手になります。本症例ではその条件を満たしていたため、小臼歯を抜かずに治療を進めることができました。
「抜歯はしたくない、でも口元は出したくない」——10代女性に多いお悩み
矯正相談に来られる患者様が最も強く気にされるポイントの一つが、横顔の印象を決める「Eライン(エステティックライン)」と、口元の突出感です。特に10代・20代の女性患者様は、このこだわりが一層強いように感じます。
口元を引っ込めるためには「抜歯が必要」と言われることも少なくありません。しかし「健康な歯を抜きたくない」「痛そう・怖い」という理由で、治療への一歩を踏み出せない方も大勢いらっしゃいます。
一方で、抜歯を避けたことで歯列全体が前方に押し出され、かえって口元が出てしまう——いわゆる「口ゴボ」や出っ歯のような状態になるケースがあることも事実です。抜くか抜かないかは好みで決めるものではなく、精密検査の結果から判断すべきものだとお考えください。
鼻先と顎の先端(軟組織オトガイ)を結んだ直線のことです。日本人では、上唇がこの線より約2mm、下唇が約1mm内側に収まっている状態が、美しい横顔の一つの目安とされています。
主訴:他院で小臼歯4本の抜歯を提案された叢生と口元の突出感
本症例の患者様(10代女性)は、お母様と一緒に刈谷院の初診相談へお越しになりました。ご希望は明確で、「ガタガタを改善したい。ただし、これ以上口元は絶対に出したくない」というものでした。
他院では「ガタガタを改善し前歯を引っ込めるためにはスペースが必要であり、そのスペースを作るために上下左右の小臼歯を計4本抜歯する必要がある」という治療方針をご提案されたとのことでした。健康な歯を抜くことに強い抵抗感を感じられ、当院へご相談にお越しになりました。

初診時の口腔内。上下前歯部に叢生が認められ、正面観では下の前歯が上の前歯に大きく覆われる過蓋咬合を呈しています。上顎の歯列弓は狭窄し、下顎前歯は舌側に転位しています。
診断や治療方針は、検査方法や術者の判断によって医院ごとに異なります。抜歯の要否に迷われている場合は、複数の医院で精密検査を受け、納得されたうえで治療を選択されることをおすすめします。当院でもセカンドオピニオンのご相談を承っています。
精密検査(3D CT・セファロ)でわかったこと:骨格性のズレは軽度、皮質骨も保たれていた
顎の大きさに対して歯が並ぶスペースが不足していた一方、骨格的なズレは軽度で、歯根を収める骨の厚みも保たれていました。つまり抜歯が必須という条件ではありませんでした。
精密な3D CT画像およびセファロ(頭部X線規格写真)検査を行ったところ、次のことが判明しました。
- 歯のサイズに対して顎の横幅・奥行きが不足しており、歯列全体が前方に押し出されて叢生になっている
- ただし骨格的なアンバランスは軽度であり、上下の顎の前後的な位置関係そのものに大きな問題はない
- 歯根周囲の骨の厚み(皮質骨)もしっかり残されていた
- 噛み合わせが深い過蓋咬合を呈しており、正面から見ると下の前歯がほとんど隠れてしまう状態であった
- 上下の歯列弓が狭窄しており、歯が並ぶためのスペースが横方向にも不足していた
規格化された条件で撮影する頭部のX線写真です。顎の骨の前後・上下的な位置関係や、前歯の傾斜角度を数値で計測でき、治療前後の変化を同じ基準で比較できます。矯正治療の診断に欠かせない検査です。
「叢生がある=抜歯が必要」ではなく、不足しているスペースを、抜歯以外の方法で安全に確保できるかどうかが判断の分かれ目になります。本症例では、奥歯を後方へ動かす余地と、歯根を収める骨の厚みの両方が確認できたため、非抜歯での治療計画を立案しました。
診断:過蓋咬合を伴う叢生
本症例を「過蓋咬合を伴う叢生症例」と診断いたしました。以下、それぞれの状態について説明いたします。
叢生(そうせい)とは
叢生とは、歯が重なり合ってガタガタに生えたり、前後・左右にズレて生えたりしている状態のことです。
一般的には「乱ぐい歯(乱杭歯)」や「八重歯(やえば)」とも呼ばれます。顎の大きさと歯の大きさのバランスが崩れ、歯が綺麗に並ぶスペースが不足することで発生します。前歯が前方に傾斜して並んだ場合は、いわゆる「出っ歯」や「口ゴボ」に見える状態を伴うこともあります。
叢生を放置した場合の5つのリスク
叢生は単に「見た目(審美性)」だけの問題にとどまらず、お口全体の健康や全身状態にさまざまな悪影響を及ぼします。
虫歯・歯周病のリスクが急増する
歯が重なっている部分は歯ブラシの毛先が届きにくく、歯垢(プラーク)や歯石が溜まりやすくなります。そのため、どれだけ丁寧に磨いていてもセルフケアに限界が生じ、虫歯や歯周病の進行リスクが極めて高くなります。
噛み合わせの不均衡と特定の歯への負荷
歯列が不揃いだと、噛んだときに一部の歯にばかり強い力が集中します。過度な負荷がかかった歯は、割れたり(破折)、エナメル質が欠けたり、歯根膜に炎症が生じたりして、歯の寿命を縮める原因になります。
顎関節症を引き起こしやすくなる
正しい噛み合わせができないため、無意識のうちに顎をずらして物を噛む癖がつきやすくなります。これにより顎関節や周囲の筋肉に負担がかかり、顎の痛みやカクカク鳴る音、開口障害といった顎関節症を誘発します。
咀嚼効率の低下と消化器官への負担
食べ物を正しく噛み砕く(咀嚼)効率が落ちるため、丸飲みになりやすく、胃腸などの消化器官に余計な負担をかけることになります。
歯の摩耗・局所的な自浄作用の低下
本来であれば唾液や食べ物が擦れることで自然に汚れが落ちる「自浄作用」が働きにくくなります。また、変則的な咬合接触により、特定の歯だけが異常にすり減る(咬耗)リスクが高まります。
過蓋咬合(ディープバイト)とは
過蓋咬合とは、噛み合わせたときに上の前歯が下の前歯を過剰に覆い隠してしまう(噛み合わせが深すぎる)状態を指します。
目安として、正面から見たときに下の前歯が半分〜完全に隠れて見えない場合、過蓋咬合と診断されます。
過蓋咬合が生じる原因
- 骨格的要因:下顎の成長不足、上顎の過成長、または顔面の垂直的な骨格バランスによるもの
- 歯性(歯の要因)・機能的要因:奥歯の萌出不足や早期喪失(高さを失う)、強い咬合力(噛む力)や噛みしめ癖による奥歯の沈下
過蓋咬合を放置した場合の5つのリスク
下の前歯による上顎粘膜への機械的刺激(咬傷)
下の前歯の先端が上の前歯の裏側にある歯茎(切歯乳頭付近)に直接当たり続けることで、歯茎の傷、潰瘍、慢性的な炎症を引き起こします。
前歯および奥歯の早期摩耗・過度な負担
前歯どうしの接触圧が異常に高くなるため、歯の先端が削れる(咬耗)、あるいは歯の根元が欠ける(くさび状欠損)リスクが高まります。また、側方運動(顎を横に動かす動き)がロックされるため、奥歯にも過剰な側方力が加わります。
顎関節症(TMD)の発症リスク
下顎が後方に押し込められた位置(下顎頭の後上方位)に固定されやすいため、関節円板のズレや顎関節の痛み、開口障害、関節雑音を引き起こす主要な因子となります。
補綴物(被せ物・インプラント)の破折・脱落
噛み合わせの垂直的なスペースが乏しく、かつ咬合力が非常に強く作用するため、将来的にセラミックなどの補綴物が割れる、脱落する、あるいはインプラントへ過剰な負担がかかる原因になります。
歯周病の悪化促進(咬合性外傷)
歯周病菌による炎症に過度な噛み合わせの力(過大咬合力)が加わることで、歯槽骨の吸収が急速に進行する「二次性咬合性外傷」を引き起こしやすくなります。
歯を抜かずにスペースを作る3つのアプローチ
非抜歯でスペースを確保する方法は、①奥歯を後方へ動かす(遠心移動)、②歯と歯の間をわずかに削る(IPR)、③歯列の幅を広げる(側方拡大)の3つです。症例に応じて組み合わせて使います。
非抜歯矯正とは、歯を抜かずに、既存の歯列の中でスペースを生み出して歯を並べる治療方法のことです。
当院では、歯を抜かずに前歯を後退させるため、次の3つを組み合わせてご提案しました。
① 大臼歯の順次遠心移動
遠心移動とは、奥歯を後方(奥側)へ動かすことを指します。 奥歯を1本ずつ順番に後方へ移動させ、歯列全体を後ろへ下げてスペースを作ります。本症例では、事前のCT分析で安全に動かせると判断できた範囲内で、上下の大臼歯を後方へ移動させました。
② IPR(歯間部の切削)
IPRとは、歯と歯の間のエナメル質をごくわずかに削合し、スペースを作る処置です。 「ディスキング」「ストリッピング」とも呼ばれます。1歯あたり片側0.2〜0.5mm程度、エナメル質の厚みの安全な範囲内で行うため、歯の神経や寿命に影響を与えるものではありません。削合した面はフッ素塗布などのケアを行い、虫歯のリスクにも配慮しています。
③ 歯列の側方拡大
側方拡大とは、狭くなっていた歯列弓の幅を適正な幅に広げ、スペースを確保する方法です。 本症例では、内側に倒れ込んでいた奥歯を起こしながら歯列弓の幅を広げることで、前歯を前に押し出さずにスペースを生み出しました。
この3つは、いずれか1つで足りるものではなく、症例に応じて組み合わせて用います。どれをどの程度使えるかは、骨の状態と歯根の位置によって一人ひとり異なります。
なぜワイヤー矯正ではなくマウスピース矯正を選んだのか
マウスピース型矯正装置は歯冠全体を「面」で覆うため、前歯のトルク(歯軸の角度)を保ったまま奥歯を後方へ動かしやすく、「口元をこれ以上出したくない」というご希望のある症例に適していると考えたためです。
従来のワイヤー矯正では、奥歯を後ろに送る際に、その反作用で前歯が前に倒れ込みやすい(唇側傾斜)というリスクがあります。
一方、マウスピース型矯正装置は歯冠全体を面で覆うため、前歯のトルクを維持したまま、後方へ平行移動(歯体移動)させやすい構造になっています。また「ステージング(段階的移動)」といって、歯の移動順序をシミュレーションソフト上で設計することが可能です。このステージングの調整により奥歯から順番に遠心移動させられることが、マウスピースでの矯正治療が前歯を前方に出しにくい理由です。
歯を、歯軸の傾き(前後の角度)を保ったまま制御することを指します。
歯を傾けずに、根っこから平行に移動させることです。前歯を「倒して」下げるのではなく「平行に」下げられるかどうかが、口元の仕上がりを大きく左右します。
歯を傾けずに、根っこから平行に移動させることです。前歯を「倒して」下げるのではなく「平行に」下げられるかどうかが、口元の仕上がりを大きく左右します。
ワイヤー矯正ではステージングのような個別の歯の移動設計が難しく、ブラケットと呼ばれる装置にワイヤーを装着すると、一度に多くの歯に力が加わります。足りないスペースを補うために歯列全体が側方・前方に傾斜し、さらに口元の突出を助長することもあります。
本症例は「非抜歯でガタガタを治し、かつ口元はこれ以上出さない」ことが条件であったため、ワイヤー矯正ではなくマウスピース型矯正装置での治療を選択しました。
※装置の選択は症例により異なります。ワイヤー矯正が適している症例も多くあり、当院ではどちらの装置にも対応しています。
治療経過:1年目に奥歯の遠心移動と側方拡大、2年目に噛み合わせを緊密化
治療開始から約1年で奥歯の後方移動と歯列の側方拡大を終え、残りの約1年を噛み合わせの緊密化に充てました。
治療開始からおよそ1年後、計画通り奥歯から順次後方へ移動を行い、上下の歯列の側方拡大が終了しました。奥歯が内側に倒れて狭くなっていた歯列(狭窄歯列)を側方へ拡大することにより、スペースの獲得と咬合の挙上が同時に行われ、叢生と過蓋咬合の改善が進みました。
歯列の横幅が本来より狭くなっている状態です。奥歯が内側に倒れ込むことで生じ、歯が並ぶスペースが横方向に不足します。
また、治療中に前歯が唇側(前方)に煽られる現象を防ぐため、アタッチメント(マウスピース矯正において歯の表面につける小さな樹脂の突起)の角度と位置を緻密にコントロールし、必要に応じてアンカレッジ(固定源)を強化するための装置やゴムでの牽引を併用しました。
歯を動かすときに「支点」となる歯や装置のことです。固定源が弱いと、動かしたい歯だけでなく支点側の歯も一緒に動いてしまい、結果として前歯が前に出てしまいます。

歯列の重なりが解消し、上下の噛み合わせが整ってきた段階の口腔内です。
ここから残りの1年は、噛み合わせを作るために注力しました。歯を並べるだけでなく、上下の奥歯が1本1本しっかり噛み合う状態まで仕上げることが、後戻りを防ぎ、長く安定させるうえで欠かせない工程です。
治療結果:Eラインと口元の変化
叢生・過蓋咬合はともに改善し、上下前歯は前方に出ることなく後退しました。前歯の角度を保ったまま歯列全体を後方へ動かせたことが、口元を出さずに治せた理由です。
治療完了時、叢生・過蓋咬合はともに改善されました。上下の前歯は前方に出ることなく後退し、口元の突出感が改善されました。口唇が自然に閉じられるようになったことで、横顔のEライン上に上下口唇が収まり、ご本人・お母様が最も懸念されていた「非抜歯による口元の前突感」は認められない結果となりました。

治療完了時の口腔内。上下前歯部の叢生が改善し、正面観では下の前歯が適正な深さまで見えるようになりました。上下の歯列の裏側には、後戻りを防ぐための固定式リテーナー(保定装置)を装着しています。

横顔の比較。上下口唇がEライン上に収まり、口元の突出感が改善しました。※治療結果には個人差があります。
ここで注目していただきたいのは、上下の前歯の角度が大きく変化していないという点です。治療前後のセファロを比較すると、前歯の唇舌的な傾斜はほぼ保たれたまま、歯列全体が後方へ移動していることが確認できました。
これは「前歯を前に倒してスペースを作った」のではなく、「奥歯を後方へ動かしてスペースを獲得した」ことを意味します。非抜歯矯正で口元が出てしまうケースは、前者の方法でスペースを補ってしまった結果であることがほとんどです。同じ『非抜歯』でも、スペースの作り方によって口元の結果はまったく変わります。
本症例は動的治療期間 約2年0ヶ月で終了いたしました。奥歯の噛み合わせも安定し、術後のCT撮影においても歯槽骨と歯根に明らかな異常所見は認められませんでした。
治療結果には個人差があります。同様の治療がすべての方に適用できるわけではありません。
機能面での変化:口唇閉鎖不全と下口唇の翻転(タラコ唇)が解消した理由
前歯が適正な角度に収まったことで、無理に口を閉じようとした際の下口唇のめくれ上がりが解消し、唇が自然に閉じられるようになりました。
見た目の変化だけでなく、機能面でも改善が得られました。
力を入れずに自然に口を閉じることが難しく、安静時に口が開いてしまう状態です。前歯の突出や口元の膨らみが原因になることが多く、口呼吸や口腔乾燥につながります。
前歯が適正な角度に収まったことで、無理に口を閉じようとした際に起きていた下口唇の翻転(唇が外側に向かってめくり上がる状態)が解消しました。それにより唇が自然な肉厚・角度に戻りました。唇が外へめくれ上がったような外観は、いわゆる「タラコ唇」や「口ゴボ」に見える状態を誘発します。
口唇が自然に閉じられるようになると、口呼吸から鼻呼吸へ移行しやすくなり、口腔乾燥による虫歯・歯肉炎リスクの低減にもつながります(改善の程度には個人差があります)。見た目の改善と機能の改善は、多くの場合セットで起こります。
非抜歯矯正ができる人・できない人——「見極め」の重要性
非抜歯での治療が可能かどうかは、①奥歯を後方へ動かせるスペースがあるか、②歯根が皮質骨の中に安全に収まるか、の2点をCTとセファロで事前に判断します。
非抜歯矯正は、決してすべての症例に適用できるわけではありません。人間は全員が画一的に同じではなく、骨の形態、骨質、骨の厚みなども個人間で当然異なります。無理に非抜歯で行うと、歯が骨からはみ出したり、後戻りの原因になったりするリスクもあります。
非抜歯での治療を検討できる条件(当院の判断基準)
- 骨格性のズレ(上下の顎の前後的な位置関係)が軽度であること
- 第二大臼歯の後方に、歯を移動させられるスペースがあること(親知らずの状態を含めて評価します)
- 歯根を収める皮質骨の厚みが保たれていること
- 口元の後退を希望される量が、遠心移動・IPR・側方拡大で確保できるスペースの範囲内に収まること
非抜歯が適さない可能性が高いケース
- 骨格性の上顎前突・下顎後退が中等度以上である
- 叢生量が大きく、遠心移動とIPRだけではスペースが不足する
- 歯槽基底が狭く、歯根が皮質骨を逸脱するリスクがある
- 大幅な口元の後退を希望されている
抜歯が最適な選択となる症例も確実に存在します。大切なのは、「どこまで奥歯を下げられるか」「皮質骨の中に歯根を安全に収められるか」を事前の分析で正確に見極めることです。当院では、この見極めができない状態で「抜かずに治せます」とお約束することはいたしません。
まとめ:諦める前に、まずは精密検査とセカンドオピニオンを
- 「叢生がある=抜歯が必要」ではなく、不足しているスペースを抜歯以外の方法で安全に確保できるかどうかが判断の分かれ目になります。
- 非抜歯でスペースを作る方法は、大臼歯の遠心移動・IPR・歯列の側方拡大の3つです。
- 同じ非抜歯でも、前歯を前に倒してスペースを補うと口元が出てしまいます。奥歯を後方へ動かせるかどうかが、口元の仕上がりを決めます。
- 適応の判断にはCTとセファロによる精密検査が必要です。抜歯が最適な症例も存在します。
「口元を下げたいけれど、絶対に歯を抜きたくない」という悩みは、決してわがままではありません。現代のデジタル矯正技術とメカニクスを駆使すれば、歯を抜かずに理想の口元と美しい歯並びを手に入れられる可能性は十分にあります。
一方で、抜歯が最適な症例もあります。どちらが適しているかは、CT・セファロによる精密検査を受けて初めて判断できるものです。
当院(刈谷市半城土西町)には、刈谷市のほか知立市・安城市・高浜市など西三河エリアから、抜歯の要否に迷われた患者様が多くご相談にお越しになります。他院で抜歯を提案された方のセカンドオピニオンも承っております。初診相談は無料です。まずはご自身の状態を知るために、ぜひ一度ご相談ください。
高校生の患者様の場合、部活動や受験との両立を心配されるご家庭も多くいらっしゃいます。装着時間の目安や通院間隔についても、保護者様と一緒にご説明いたしますので、お気軽にお尋ねください。