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歯列矯正の治療期間は?

ほかの歯科治療と比べて、矯正は長いと考える方もいらっしゃるのでは? 歯の矯正を始めようと思ったときに、矯正期間のために悩む患者さんもいらっしゃいます。今回は、矯正期間や矯正を早く終える方法をご紹介しましょう。


大人と子どもで必要な期間がちがう


通常、矯正には長い時間が必要といわれます。この理由は2つあります。以下、説明してまいりましょう。


歯や周囲組織にダメージを与えないため


歯は、「骨代謝」と呼ばれる破壊と再生を繰り返し、毎日新陳代謝を行っています。そう、それはお肌と同じです。矯正治療は骨代謝の速度に合わせ歯を動かすため、1ヶ月に約1mmの速度と非常にゆっくりです。歯に無理に強い力を与えても早く動かないばかりか、歯茎や神経、歯の根っこなどにダメージを与えてしまいます。


保定期間が必要なため


保定期間は、「保定装置」という取り外し式の装置を装着する期間で、通常、歯を動かした期間と同じくらいかかる歯並びの「後戻り」を防ぐための大切なプロセスです。歯は、矯正装置で歯を動かしたあとも元の位置に戻ろうとする性質があるため、せっかく時間をかけて動かした歯並びは上下の歯の噛み合わせが定着するまで1から3年ほどは辛抱しなくてはなりません。

大人の歯列矯正期間は約1年から3年


矯正期間は、年齢、治療方法、お口の状態によって個人差がありますが、上記のとおり目安は1から3年ほどかかります。歯並びが大きくでこぼこと差があったり、虫歯や歯周病の治療に時間がかかったりすれば、矯正期間が長引きます。反対に、矯正の必要が少ない人は数か月で終えることもあります。

小児矯正期間は大人より長い


小児矯正には、1期治療と2期治療があり、1期治療は乳歯がすべて永久歯に生え変わるまで(6から11歳ごろが対象)で、2期治療は永久歯が生えそろったあと(12から20歳前後が対象)です。
小児矯正を1期治療から始めると12, 13歳ごろまで続きます。1期治療で済むこともあれば、2期治療が必要になることもあります。
大人に比べると子どもの矯正治療は長いですが、お子さまの顎の成長期間に合わせて行う必要があり早く終わらせることはできません。

おもな歯科矯正の種類と平均治療期間


歯科矯正には、「唇側からの歯科矯正(ブラケット矯正)」「歯の裏側からの歯科矯正(裏側・舌側矯正)」「マウスピース型装置での歯科矯正」の3種類があるので、以下でそれぞれの特徴や治療期間などをご紹介します。

唇側からの歯科矯正(ブラケット矯正)


歯の表側(唇側)に付けるブラケット矯正は、一般的なワイヤー矯正治療です。これは、歯の表面にブラケットと呼ばれる器具を取り付け、それをワイヤーで固定し歯を動かす治療方法で、ほとんどどんな矯正治療の症例にも対応できます。以前は金属製の器具でしたが、最近では透明・ホワイト・ゴールドなどの歯の色に馴染みやすい素材のパーツもあり、目立ちにくいのも長所です。反面、装置が外れやすかったりものが挟まったりという短所があります。通院頻度は1ヶ月に約1回で、治療期間は1から3年程度です。

歯の裏側からの歯科矯正(裏側・舌側矯正)


歯の裏側にブラケットを装着して矯正していく治療方法です。矯正装置を歯の裏側につけるのでそれほど目立たず、人目を気にする必要がありません。そのため、人と接する機会が多い方や大事なイベントの前に矯正をしたいという方に向いています。また、唇を傷つけにくいのも長所です。反面、着用に慣れるまで発声しづらく、ブラケット矯正と同様、装置が外れやすかったりものが挟まったりという短所もあります。通院頻度は3週間に1度、治療期間は約2年半です。

マウスピース型装置での歯科矯正


口腔内スキャナーでスキャンしたお口のデータや精密検査の診断を元に、透明で薄いプラスチックのマウスピースを使用し、事前に治療のビフォーアフターのシミュレーションを行います。 マウスピース型矯正は透明で目立たず、自分で取り外しが可能なため歯磨きがしやすく衛生的で、痛みに過敏な患者さんや金属アレルギーをおもちの患者さんも安心して使用できます。オーダーメイドで作る専用の矯正装置は、1~2週間ごとにご自宅で交換できるため、歯科医院への通院頻度が少ないのも特徴です。
マウスピース型装置は、1日約20時間装着する必要があり、装着時間が短いと矯正期間が延びてしまいます。通院頻度は、1ヶ月〜3ヶ月に1度程、治療期間は約1~3年です。
お口や歯の状態、あるいは生活習慣やライフスタイルによって適しているタイプ、治療に適さないタイプがあります。まずは、ご自分の希望やご自身に合った治療方法がどれなのか、歯科医の診断を受けてみましょう。

矯正期間を短くするために


患者さんのご協力は、効率的な、そしてスピーディーに矯正治療を終えるのに必要です。次の3つのことについてご留意ください。

計画通りの通院


お仕事・部活・習い事・友人との予定などで、治療の予約が先延ばしになってしまうと、完了も延びてしまいます。できるだけ予定通りに治療が進むよう、たとえばご予約のキャンセルをしないように気をつけていただき、また、受験やお仕事の繁忙期などあらかじめ予定がわかっているライフイベントの前後には治療を開始されないなどご協力ください。

規定通りに装置使用


マウスピース型矯正装置は取り外しが可能ではありますが、装着時間を守らないと矯正治療の成果が十分に発揮できません。保定期間中も装置を使用することで、後戻りせずスムーズに治療を終えられます。

定期的な歯磨きで歯を動きやすく


ワイヤー矯正において、歯石や歯垢などの汚れは大敵で、特に虫歯ができると矯正装置の接着が弱く外れやすくなります。また、虫歯や歯周病の治療中に矯正治療をお休みすると、治療が終わるのも遅くなります。ブラケットや歯に付着した歯垢は、歯磨きを丁寧にかつしっかりと行い落としましょう。

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